「細菌を殺す薬、
つまり、抗生剤、抗菌剤について」
今回は、細菌を殺す薬、つまり、抗生剤、抗菌剤について、お話しましょう。
あなたが、尿道炎や膀胱炎に罹ったと仮定します。
どうしたら良いと思いますか?
- お医者さんに診てもらい、薬をもらう。
- 薬屋さんで売薬を買って内服する。
正解は、「1.お医者さんに診てもらい薬をもらう。」です。
抗生剤は、病院、診療所で直接処方してもらうか、処方箋を書いてもらって薬局で薬をもらうか、しないと手に入りません。
「今まで、すぐ膀胱炎になっちゃうから、売薬飲んでたんだけど、やっぱり調子悪いのよね。」との訴えで来院する膀胱炎の患者さんが、多くいらっしゃいます。
軽い膀胱炎ならば、水分を多く摂って売薬を飲んで治る可能性もありますが、菌がきちんと死なずに眠った状態のまま残ってしまい(症状は出ません!)、慢性膀胱炎になってしまった患者さんを多く見かけます。
慢性膀胱炎は、たいへんに治しにくいため、必ず、お医者さんにかかって、抗生剤をもらい、指示された日数どおり、きちんと内服してください。
症状がとれるのと、菌が死ぬのは、全く別のことなのですから!
次は、薬の飲み方です。
あなたは、
尿道がむずむずするので、性病かな、と思い、性病科(泌尿器科)にかかりました。
尿道炎の診断で、抗生剤を一週間分処方され、「一週間きちんと内服して来週また来てください。」と、言われました。四日間内服したら、症状が無くなりました。
さて、あなたは、どうしたでしょう?
- 治ったと思い、内服もやめた。
- 一応一週間内服したが、お医者さんには行かなかった。
- 一週間内服してから、再度、病院へ行った。
正解は、「3.一週間内服して、再度、病院へ行った。」です。
前に述べたとおり、症状が消えることと菌が完全に死ぬことは、一致しません。
いいですか。症状が無くなった時点では、かなりの確率で菌は生き残っています。そして、また、暴れだす機会を窺っているのです。
しかも、再発してくる時はゆっくり炎症のレベルが上がってくることも多く、症状を自覚しにくいので、気がついた時には慢性尿道炎になっていて、抗生剤がなかなか効かない例を、日々経験しています。
尿道炎の治療は、通常、抗生剤の内服のみでOKです。昔は、抗生剤の切れ味が今ほど優れていなかったため、抗生剤の注射も使いましたが、今は内服薬が大きく進歩したため、注射はほとんど必要ありません。
平均的には、二週間(+α)の抗生剤内服で十分治ります。
しかし、それには、大事な条件があります!
すなわち、抗生剤内服中は、飲酒、SEXは厳禁ということです。飲酒もSEXも結果的に抗生剤の効果を落としてしまうため、期待した効果が得られずに、完治が遅れてしまうのです。
まあ、二週間も酒もエッチもだめなんて、結構酷な話ではありますが、早く確実に治すには絶対必要なことですから、厳守してください。
ところで、「一日一回しかも一日だけ内服すればOK。二週間後に再検するから来てください。」と、言われたら、あなたはどう思いますか?
普通なら、「こいつはすごい。是非試して見たい。」と、考えてもおかしくありません。
しかし、その薬は、クラミジアに対しては一日だけ一回内服すれば著効を示す、と宣伝されていますが、すべての菌に対して著効を示すわけではありません。まして、尿道炎や膣炎の原因がクラミジアかどうか、そして、クラミジアだけなのかは、通常DNA、PCRの検査も含めて約一週間後にならないと判らないわけで、クラミジアかどうか確定する前に、FIRST CHOICEとして使用するのは、どうなんでしょうか。
「一日一回しかも一日だけ内服すればOK。二週間後に再検するから来てください。」と言われて、あなたは、二週間後にきちんと病院へ行きますか?
行く? 素晴らしい! 患者さんが皆そうなら、大いに結構です。
ところで、その薬を飲んでから十日間は、禁酒、禁SEXが望ましいはずですが、知ってましたか?
飲んで気持ち悪くなるケースが通常の抗生剤治療と比較して多いと思われることをご存知でしたか?
この薬の素晴らしい効き目に関しては、僕も認めます。現に、僕も使っているのですから。但し、一回だけの大量投与という方法は、やったことがないですし、これからも多分やらないでしょう。
尿道炎の治療は、完全に治ったという認識が得られて、初めて終了するものです。それには、抗生剤の効果が消失してからしばらく経って、もう一度尿道をチエックする必要があるのです。当然、薬をやめてしばらくして再度来院してもらう必要が生じてきますが、患者さんとのコミュニケーションがきちんとできていないと、それは無理です。約二週間、薬を内服している間に何回か状態をチェックしながら患者さんと言葉を交わし、治って行く過程をきちんと説明してあげることによって、信頼関係が出来上がり、完全に治ったという状態までもっていけているのだと自負しております。
と、いうわけで、性病、泌尿器、関係、なんでも任せてくださいよ。
何せ、患者さんを診るのが生きがいなんですから。 宜しく
院長 原口 忠 |